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鎮静剤使わないとトリミングできなくなったわんこ

鎮静剤使わないとトリミングできなくなったわんこ

ビションフリーゼ 
まだ1歳になったばかりの男の子

鎮静剤を使わないとトリミングできなくなってしまったとのことで
うちの子でもトリミングしてもらえますか?とメールでお問い合わせをいただいた。
仔犬のころから定期的にトリミング出していたのに何回目かで
次回は鎮静剤使わないとトリミングできないと言われてしまい
鎮静剤使用してトリミングしたり、ほかのサロンでお願いしたり
ドッグトレーナーに見せたりいろいろ手を尽くされていた

正直どんな状態になるのかも見ていないし軽々しく私ならできますとは
言い切れませんが何とかしたいと思いました。

きっと飼い主さんもどんな状態になるのか
なぜ鎮静剤を使わないとトリミングできなくなったのか
わからないのではと思いましたので
飼い主さんが付き添って改善に向けてご協力いただけるならとお受けしました

 

2019年11月23日
初ご対面
とても明るくかわいい男の子で
店の中を無邪気に走り回る普通の幼いわんこ

飼い主さん(お母さんと娘さん)と一緒に
トリミングルームに入ってもらいトリミングテーブルへ

あまり緊張している様子もなく落ち着いているように感じたブラッシングを始めると少し唸ったり振り返り噛もうというそぶりを見せた
でも座ったまま背中や首、頭など毛を引っ張らないように細心の注意と力をかけずとにかく優しくゆっくりブラッシングをしていれば少し気にするもののやらせてくれた

前足は怒ったりもしだがこちらもゆっくり触っていればなんとかブラッシング出来た
お尻や後ろ足は家でも苦手と言っていたのでゆっくり立たせて触ったら
やはりそれまでとは違って抵抗を見せた
飼い主さんがなだめてくれたり励ましてくれて何とかブラッシングできた

しかし、少しでもブラッシングの時間を短縮してあげようと
バリカンをかけようとした途端暴れだしそれまで以上に抵抗を見せた

バリカンのスイッチを入れながら刃を当てずに本体を体に当てるなどして
落ち着きを取り戻したらバリカンも何とかかけさせてくれた

シャンプーは嫌がるものの肛門腺で少し怒っていましたが
飼い主さんが安心させてくれていたので問題なくできました

ドライヤーは途中ウトウトして寝てしまうこともあり
もしかしたらカットできるかも?と思いましたが
そうはいきませんでした

爪切りで怒りだし、特に前足は飼い主さんの手も噛んでしまうので
口輪を少しさせてもらってカットした
手を触っても爪を触っても爪切りを当てても我慢はできるのですが
パチンと切った音がするたびに大暴れするといった感じでした。

バリカンは体はかけることにそれほど怒り出すことはなくなり一通りバリカンをかけることはできた

最難関は顔のカットでした

ハサミの音がした途端大暴れして噛もうと必死に抵抗
バリカンでも顔周りに来ると同じく大暴れ
無理かな?と思いましたが少しでもカットしてあげたいと思い
まずはハサミを閉じたままナデナデ、するとハサミを見ても怒ることはないと判明
これならいけるかもと目の周りをチョキン、ナデナデしてチョキン
目の周りは何とか可愛いぱっちりした目が見えるまでカットできましたが
顔周りをハサミでカットするのはやはり強い抵抗を見せて大暴れしてしまう

音にも少し慣れてもらおうと体をハサミでカットしましたが
怒ることもあるものの体は何とかハサミで少しカットできましたが
そのまま顔のほうへ行くとまた大暴れ
ハサミは暴れてしまうとけがの恐れが高まるので
顔周りはバリカンでカットしようとバリカンのスイッチ切った状態で
ナデナデしてから頭にささっとバリカン当てたら少しできた
口周りも少しカットしてあげたいと、落ち着いたら少しバリカンで毛を落とす

顔を持つときは力を入れず支える感じでもってバリカン当てて
暴れたら少し引いてまた落ち着いたら行う

なぜか顔の右側は少し落ち着いてやらせてくれるのに
左側になると大暴れしてしまって左側だけカットできないので
最後はちょっと強引に首の後ろをもって首を固定して
口を大きく開けて抵抗していましたが強行突破でカットしました

これ以上は精神的にも肉体的にも限界と判断しきれいにカットはできていないがここまでよく頑張っと褒めまくって終了しました

大暴れしても必死に声をかけると落ち着いてやらせてくれるので出来た時はこれでもかってくらいみんなで褒めまくりました
「すごいね!できたじゃん!かっこいいわー!」などなど

暴れることに対して強く出てねじ伏せるのではなく、暴れたことを受け止め落ち着いてくれたら明るく楽しく、時に笑いながら褒める

飼い主さんも初めてトリミングの様子を見てショックもあったと思いますが終始明るく、時にわんこに世間話をするなどしてくれたのできっと心強かったと思います。

この子はトリミングに必要なすべての行為に抵抗は示しますが特に音に対しては異常なまでの反応を見せていました

あくまでも推測ですが、鎮静かけていると体は思うように動かせないが耳だけは聞こえるので音が聞こえるから逃げたいのに体が動かないから
逃げられない状態
これって自分がもし同じような状態だったらものすごい恐怖でトラウマになってもおかしくないですよね?
それが多感な幼少の時期なら尚のことトラウマになってもおかしくないです

トリミングでなければ顔をナデナデしても抱っこしても怒ることも唸ることもなく、ご満悦な顔をしてくれる幸い人が嫌いなわけでも人の手に対して恐怖心があるわけでもない

ただ、音は消すことができないしカットするには音がしないで行うのは不可能
私のハサミは研ぎに出したばかりで音はかなり小さい
それでもあの反応でしたのでとにかく音=恐怖という記憶に、音=怖くないという記憶を上書きしていくしかありません

飼い主さんには家でもハサミでナデナデしたりチョキチョキ音を聞かせて何も怖いことは起こらないということを体験させてほしいとお願いしました

トリミングはおとなしくしてくれていないと難しいですが暴れて無理と判断されたら
鎮静かけて無抵抗にさせるか、無理やり抑えて口を縛って、抵抗することをあきらめさせるまで徹底的に人に服従させるかどちらかの方法がほとんどですがこれではトリミングは仮にできたとしてもあまりにも理不尽でフェアではない
犬だから人に服従するのは当然というのこ私はおかしいと思う

今回とてもトリミングとは言えない出来栄えですがほとんどの工程で押さえつけることも声で威嚇することも叱ることもしていません

この子に必要なのは成功体験だと思います。
これはとても時間と手間がかかりますがトリミングはこれから一生必要になりますので少しでも穏やかな気持ちでトリミングができるようにしてあげる必要があると思います

どれくらいで効果が出るかわかりませんが、同じようにトリミングに対して恐怖心を持つようになってしまったわんこや飼い主さんのためにも経過報告させていただきますので参考になさってください

お悩みご相談もメールやラインでお受けします
トリミングができないのに家では何も問題がない場合はトリマーが何とかしてあげないといけないと思います
飼い主さんの愛情があれば少しずつ必ず変化してくれますのでどうかあきらめないであげてください

長文をお読みいただきありがとうございました